学会報告「事故としてのイノベーション」

教員 2014年6月23日 posted尾田 基

 組織学会@北海道大学に行ってきました。(リサーチセミナーにでられず,申し訳ありません。)今回発表したのは「事故としてのイノベーション」(発表資料PDF)というタイトルで,イノベーションの社会的正当化問題に対して,どのようにすれば組織論の知見を応用できるのかということを検討した理論的な内容です。先々週の公共政策学会で発表した審議会研究が実証的側面なので,その研究に背景の理論を足す作業でもあります。

 企業組織側にとって企業家活動や企業家活動にともなう法的リスクへの対応はノン・ルーティンの極地であります。将来的にはロビイング活動をルーティン化していけば組織的に対応できるのですが,ノン・ルーティンとしては,戦略的な意思決定で法的リスクをコントロールするしか対策がない(一時的に無料提供して期待利益水準をゼロかつ正当性最大化にポジショニングしておくとか,規制を逆手にとって小さいニッチビジネスとして設計するとか)と私は考えています。
 他方で行政組織にとってはイノベーション対応はある程度ルーティンの作業であり,イノベーションが”大事故”になるのもならないのも,そのような組織プロセスの問題が大いに関わってくるはずであろう,こちらに関しては組織論的な発想を使えるはずだ,という予想がある。企業にとってのイノベーションの社会的正当化は戦略論しかやりようがないけれども,行政や社会の側からイノベーションのアセスメントをしていくプロセスは組織論の発想でいける,その読み筋を深めていけば,それは企業の側にとっても戦略を考える手がかりになるはずだ,と。安全管理の分野でReason(1997)という事故に陥りがちなルーティンを解明していく研究書兼実践書があって,Reasonが組織内の安全管理を考えていった考え方を行政組織によるイノベーション対応プロセスに適宜読み替えていけばいいのではないか・・・。

 理論を構築したというよりは予想・発想のレベルでの発表だったために,結局Reasonを読んだことがある先生方にしか伝わらず,あまり良い出来ではありませんでした。誤解を招く(誤解に誘導するに近い?)ポイントが2つぐらいあったので,修正していきたいと思います。理論研究は将来的なブックチャプターのつもりで書いている部分(新規性がなくとも包括的にまとめるとか,今進んでいる事例研究や定量研究につなげるための枠組みとして構成する方針)と,投稿論文にするために新しさを求めている部分(頭のがんばりがあと2回ぐらい必要・・・)とが混ざっているのがよくないので,一度包括的なワーキングペーパーを書いてから,もう一度投稿論文に向けて書く,という夏休みになりそうです。

2014-06-21 09.26.40

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