【出張報告】スイス〜ドイツ編(木村)

教員ブログ 2015年3月11日 postedkimura 【出張報告】スイス〜ドイツ編(木村) はコメントを受け付けていません。

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イギリスを先週木曜日に発ったあと、3月5日から3月10日までは、スイス、オーストリア、ドイツで調査を行いました。

イギリスのクリエイティブ産業政策は、機能と表現、科学や技術とアート、芸術の融合による効果を最大にする政策といえます。けっして簡単ではないこのバランスは、歴史的にみれば、実際には、すでに長い間、目指されてきたことです。しかし、その実現は難しく、それをいま、政策として先導しようとしているのがイギリスのクリエイティブ産業政策です。この政策がどれほど革新的であり、日本に大きな示唆を与えている政策であるかを明らかにするためには、「なぜ今」「イギリスが」を問うことが必要だと考えるようになりました。

イギリスのクリエイティブ産業政策は、クリエイティブ産業という名称そのものが「イギリスの成功した輸出品だった」という指摘もあるほどのインパクトがありました。”Creative industries Switzerland”(Weckerle,2008)によると、クリエイティブ産業に関する議論は1970年代からヨーロッパやカナダで行われていましたが、イギリスのいうクリエイティブ産業はこれとは異なる、ということも書かれており、この政策は、イギリスから始まったといえます。また、この政策は、19世紀末のアーツ&クラフツ運動からの流れとして捉えることが重要だと考えられます。実際、昨年、モスクワで「ブリティシュデザイン:アーツ&クラフツ運動からデジタル革命へ」という展示があったそうです。さらに、ロイヤルカレッジオブアートとインペリアルカレッジが2007年から2011年まで実施していた、デザインロンドンというプログラムでも目指されていた「イノベーショントライアングル」(テクノロジー&エンジニアリング、ビジネス、そして、デザイン)からも、デザイン、そして、この3つの統合が重要であると強く感じています。

そのため、研究のための調査としては初めて訪れた三つの国では、①「小さくても強い国のイノベーション力」とデザイン、②「19世紀末ウィーン(WIEN 1900)」と「イノベーション」、とくに、「表現主義」、③バウハウスの革新性というわまだまだ突き詰める必要のある3つのテーマをもって、今回は、まずは資料収集、ということで、強行スケジュール(国境は夜中に列車で越えました)で動き回りました。

スイスでは、チューリヒ芸術大学、その中にあるデザイン博物館、それからバーゼルから(じつはドイツにある)vitra社をまわり、オーストリアでは、ちょうど、リングシュトラーセが150周年ということもあり、”Wien 1900”というおなじテーマで展示を行っていた、ウィーンの応用美術館とレオポルド美術館、それからデザインフォーラム、建築博物館、ウィーン分離派。そして、(「シュンペーター伝」の写真から推測した)シュンペーターが住んでいたという家とウィーン大学へ。ドイツでは、ベルリンにあるバウハウス博物館、デッサウにあるバウハウスを訪れました。

この3つの国での3つのテーマは、すべてつながりがあるだけでなく、アーツ&クラフツ運動からクリエイティブ産業政策の流れのヨーロッパ諸国への伝播と日本の美術の影響というさらに大きなテーマにまとめられます。なぜ、これほど美しさで世界的な影響を与えてきた日本がいま魅力的な製品をつくり、それを経済的な価値へと結び付けられなくなったのかを問うとき、日本は機能と表現、科学とアート、テクノロジーと芸術、経済と文化の間に大きな大きな壁を作り出してきてしまったのではないか、イギリスでいま政策として実現しようとしていることは、いまの日本にこそ、重要な動きだと考えられます。日本がどちらも世界的にレベルが高いことはさまざまな調査等で明らかにされてきました。

今回の出張は、インプットがとても多く、どのように研究などを通してアウトプットにかえていけるかを常に悩みながら歩き続けていましたが、今後、具体的なインタビュー調査などを行うに際しても、まずはいいスタートになったと思います。

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