【報告】IAMOT2016で研究発表を実施(1)

教員ブログ 2016年5月17日 postedyoshioka 【報告】IAMOT2016で研究発表を実施(1) はコメントを受け付けていません

木村めぐみ特任講師がフロリダ州オーランドで開催された25th International Association For Management Of Technology Conference(IAMOT 2016)でExpression Value: Innovation beyond “the Two Cultures”とのタイトルで研究発表を行いました。

Two Culturesとは、C.P.スノーの講演に端を発する議論であり、理系/文系のように異なる領域として捉えられてしまうことで、両者の間のコミュニケーションが成り立たなくなっている現象が起きてしまうことを指しています。

このような例の一つが、「芸術」と「デザイン(意匠)」に対する認識でしょう。芸術は産業化に向かないもの(少なくとも、一品制作向きで、大量生産には向かないもの)、デザイン(意匠)は産業のものという認識をお持ちではないでしょうか。

行為そのものに着目すると、芸術は感覚の探求であり非言語的な要素を多分に含む自己表現的な活動であること、他方、デザイン(意匠)は顧客とのコミュニケーションに基づく活動であることと捉えることができます。この捉え方から見ても、芸術と産業との関係は遠いように見えるかもしれません。

しかし、製品の価値の重点が、機能的な価値から意味的な価値に移りつつある中で、「芸術」的行為の結果である製品が革新的な製品として広く市場からの評価を受ける可能性が高まっています。典型的な例が、人の美意識を徹底的に探求したマツダのアテンザでしょう(詳細は、延岡・木村, 2016参照)。産業の観点では対極にあるものと思われてきたものが、環境の変化によってともに産業に寄与するものとなっているのです。

木村特任講師の発表は、このように「芸術」と「デザイン(意匠)」を一例にとって、違う領域として捉えられてきたものについての疑問を投げかけています。

■参照文献
延岡健太郎・木村めぐみ(2016)「マツダデザイン“CAR as ART”」『一橋ビジネスレビュー』63巻4号130-148頁.

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