ネットワーク分析

受講者 2013年7月27日 posted尾田 基 ネットワーク分析 はコメントを受け付けていません

補足事項がたまってしまっていますが・・・まずは先週の伊神先生の書誌分析から。同じ分析手法でも使いどころが変わると研究に置いている仮定や,貢献のだすポイントが変わってきますので,研究における書誌情報の使い方は2通りにわけて若干の整理を試みたいと思います。

書誌情報を使う1つの方法は,書誌のネットワーク構造を分析することで,個々人の当事者の気付いていないような効果や,個人レベルを超えた構造の持つ影響力を分析することです。ネットワーク分析に関して,もう少し基礎から学ぶには安田雪(1997)『ネットワーク分析』新曜社あたりがコンパクトにまとまっていますので参照してみてください。ネットワークの構造を分析する際には,研究者が人間行動に対しておいている仮定として,個人の意図やモチベーション,特性云々よりも,その個人がどういう構造に組み込まれているか,ということが重要な要素だと考えて分析している。人が入れ替わっても,構造が同じならば同じような挙動をするはずだ,という仮定を含んだ手法であるといえましょう。(個人レベルを探索する他の手法では見いだせない構造を見いだすことに研究の貢献があるといえましょう。)

このような仮定をとらずに,単にトライアンギュレーションの一環として利用する方法もあります。インタビューや質問紙を使って主観的には確認できているけれども,客観的にもレスポンスティブ・バイアスのかかっていない証拠がほしいとか,定量的に多い少ないを示したい,というような使い方です。このような場合には,分析手法のオリジナリティよりも,複数の分析で似たような解釈が可能な結果がでることで,分析のロバストネスを獲得していくわけです。

 

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