【平成26年度第5回授業予定「先端科学技術とイノベーション」】12月3日
平成26年度イノベーションマネージメント・政策プログラムの必修科目である「先端科学技術とイノベーション」の第5回の授業を行います。
この授業は一般の方の聴講も可能です。
聴講希望の方は、12月1日(月)までに、
impp@iir.hit-u.ac.jpまでに御氏名、御所属を明記の上お知らせください。
定員の都合上ご希望に添えない場合もありますので、ご了承ください。
日時:12月3日(水) 18から21時
場所:一橋大学 千代田キャンパス 学術総合センター1F 商学研究科リエゾン・ラボ 大会議室 アクセス
・光領域
テーマ1:「ドレスト光子」による光・物質融合技術の原理と応用
・概要
この講義では「ドレスト光子工学」と呼ばれる日本発の革新的な技術を紹介します。「ドレスト光子工学」とは進歩の限界に直面している既存の光技術に代わり、多くの分野に使える基盤的な包括技術(generic technology)であって、「ナノフォトニクス」とよばれる新たな光のナノテクノロジーです。従来から知られているナノテクノロジーは微粒子を作ったり、その性質を測定したりする技術、つまり材料工学でありました。しかしこれに光が組み合わさると様相は一変します。すなわち、単なる材料の枠組みから脱し、新しいデバイス、加工装置、エネルギー変換、システムへと発展し、技術の質的変革をもたらして社会を支える包括技術となります。この講義では「ドレスト光子工学」の原理と応用についてその概要を説明します。
抽象的で難しいかもしれませんが、実はすでに日常生活に役立つ技術がこの原理から生まれています。いや、難しいのではなく、知ることさえできなかったと思います。なぜなら以前は「ドレスト光子」に関連する概念はまだ広く知られていなかったために大学での理系のカリキュラムに含まれておらず、従って授業などで知ることができなかったからです。その意味で「ドレスト光子工学」は新規に登場した「異次元の光技術」と言えるでしょう。この技術は将来ますます発展していくと予想されていますので、その原理と応用を知っておことは今後の技術イノベーションへの展開およびその技術政策などに役に立つであろうと思います。
なお社会科学的な話題として、「ドレスト光子」という新たな概念の研究領域を開拓してきた思い、そしてこの「ナノフォトニクス」研究を成功させる為にどのような対外的な戦略を取ってきたのかなど、革新技術が生まれ育った様子を味わって頂ければ幸いです。
・講師
東京大学大学院工学系研究科 大津元一 教授
【現 職】
東京大学大学院工学系研究科 教授
東京大学大学院工学系研究科 ナノフォトニクス研究センター センター長
特定非営利活動法人ナノフォトニクス工学推進機構 理事長
【専門分野】
ドレスト光子工学
【略 歴】
1978年、東京工業大学大学院理工学研究科電子物理光学専攻博士課程後期終了、同年同大学助手、助教授をへて、1991年同大学大学院総合理工学研究科教授、2004年より現職。1986〜1987年米国AT&Tベル研究所研究員。 現在迄に、
(財)神奈川科学技術アカデミー「大津フォトン制御」プロジェクトリーダー/ 同財団 光科学重点研究室「大津・斉木グループ」リーダー/ 科学技術振興事業団 創造科学技術推進事業「大津局在フォトン」プロジェクト総括責任者/ (独)科学技術推進機構 戦略的創造研究推進事業「ナノフォトニクス」チームリーダー/ 文部科学省リーデイングプロジェクト「ナノ計測・加工技術の実用化開発」プロジェクトリーダー/ (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「大容量光ストレージ技術」開発事業責任者/ 同法人「NEDOプロジェクトを核とした人材育成 産学連携等の総合的展開」プロジェクトリーダー/ 同法人、「低損失オプティカル新機能部材技術開発」プロジェクトリーダー などを歴任。
・テーマ2:ナノフォトニクス研究がもたらしたもの
・概要
ナノフォトニクスの研究を開始して20年を超える時間がたった。会社の経営から見れば、何を悠長な、ということになるかもしれない。しかし、光と物質の相互作用の本質に関わるナノフォトニクスの研究からは、様々な技術が派生し、実用(商品)につながってきた。そして現在では、ナノフォトニクスは新たな機能創生に不可欠な技術として重要な位置を占めるようになった。本講義では、これらの経験をもとに、企業の中の一研究者の視点から、先端科学をどのように実用技術につなげていくかということについて述べたい。
・講師
富士フイルム株式会社 R&D統括本部 先端コア技術研究所 主席研究員
納谷昌之氏
【現 職】
富士フイルム株式会社 R&D統括本部 先端コア技術研究所
光学基盤技研究室長 主席研究員
【専門分野】
応用物理、光学
【略 歴】
1985年、北海道大学 大学院工学研究科(修士:応用物理学)終了。同年、富士写真フイルム(株)(現 富士フイルム株式会社)入社。印刷関連の光学技術研究開発に従事。1993年〜1995年、神奈川科学技術アカデミー 大津「フォトン制御」プロジェクトに会社からの派遣研究員として参画。その後、ナノフォトニクスの基礎研究およびに、バイオセンサ、光機能デバイスなどへの応用研究開発に従事。博士(工学)。
今後の「先端科学技術とイノベーション」授業の予定
・逆浸透膜 12/17(水) 18-21
東洋紡株式会社膜事業部事業部長 藤原信也氏
東洋紡株式会社アクア膜事業部主幹 熊野淳夫氏
一橋大学大学院商学研究科 准教授 藤原雅俊氏
一橋大学イノベーション研究センター 教授 青島矢一氏
・ICT I 12/24(水) 18-21
早稲田大学理工学術院 教授 高西 淳夫氏
「早稲田大学の高西研究室訪問による各種ロボットのデモ見学」
・ICT II 1/28(水) 18-21
慶応大学 環境情報学部 教授 徳田英幸氏
以上