2024年度「先端科学技術とイノベーション」④
2024年11月6日、「先端科学技術とイノベーション」第4回講義が、千代田キャンパスの一橋講堂1階 特別会議室にて開催されました。今回のゲスト講師は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産大学校 海洋生産管理学科准教授の松本浩文氏です。松本氏は、阪九フェリー株式会社での13年間の経験を活かし、現在は水産研究・教育機構水産大学校で後進の指導を行う傍ら、水産研究・教育機構発の第一号ベンチャー企業「Digital Fisheries Lab.」を設立し運営を行っています。
本講義では、沖合底びき網漁業の事例を通して、水産業のデジタル化による効率化と高付加価値化を目指した研究についてご講義いただきました。3時間もの講義の中で、松本氏は、水産業の現状や沖合底びき網漁業の概要、関連する研究開発の進展、社会実装とベンチャー設立に至るまで、さらには資源評価に基づく水産資源の現状やデジタル技術を活用した情報共有の重要性など、多岐にわたりお話いただきました。
特に本講義では、ICT技術を活用して漁獲情報のデジタル化とデータ共有を行えば、作業の効率を向上させるとともに水産物の付加価値を高めることが可能である点について強調されていました。また、市場のデジタル化はコスト削減のみならず、多様な顧客ニーズに対応できるサービス提供であると、その重要性を説かれていました。
その他、講義後半では、「Digital Fisheries Lab. 合同会社」の設立背景や目的に始まり、水産業のデジタル化推進におけるシステム管理や人材育成、これらに伴うコンサルティングなど、同社が担う役割や取り組みについて説明がありました。データ活用については、漁獲量や母船の位置情報の収集をおこない、それらをリアルタイムで共有することで漁獲効率と資源利用率が向上したことについて触れていました。
今回の講義は、水産業界における技術革新の重要性とデジタル化の未来への可能性について多くの示唆を与える貴重な機会となりました。