2024年度「先端科学技術とイノベーション」⑥

授業 2024年11月20日 postedlijiarong 2024年度「先端科学技術とイノベーション」⑥ はコメントを受け付けていません

2024年11月20日(水)、秋冬学期「先端科学技術とイノベーション」の第6回講義が千代田キャンパスの一橋講堂1階特別会議室にて開催されました。今回は、BionicM株式会社の取締役COOである関口哲平氏をゲスト講師としてお迎えしました。本講義は、本学の学生だけでなく一般参加者にも公開され、ZOOMを通じてオンラインでも配信されました。

関口氏は、BionicMの沿革や事業化に至るまでの挑戦について詳しく解説されました。同社は独自技術「Bionic Muscle Technology(BMT)」を活用し、人間の筋肉の動きを模倣することで、義足の分野における画期的なイノベーションを実現しています。講義では、製品開発の背景から市場導入(G2M)に至るまでの過程、さらに臨床評価や販売パートナーシップ構築の重要性についても触れられました。特に、関口氏は義足市場の現状について、下肢切断者の約70%が60歳以上の高齢者であること、そして糖尿病などの循環障害が主な原因であるといったデータを基に課題を説明しました。

さらに、義足市場の現状に対する同社の革新的なアプローチとして「パワード義足」が紹介されました。この義足は、従来の受動式義足とは異なり、センサー技術と独自のアルゴリズムを組み合わせることで、膝関節の動作をアシストし、ユーザーの歩行をサポートすることを目指しています。この技術は単に身体機能を補助するだけでなく、生活の質の向上や社会参加の促進にも大きく寄与すると期待されています。

今回の講義テーマは「大学発Deep Techスタートアップの事業化における課題と展望」にも焦点が当てられました。関口氏は、資金調達や専門人材の確保、海外市場進出における課題について具体例を交えながら、大学発のDeep Techスタートアップが直面する現実を詳しく説明しました。また、医療機器としての規制や認証プロセスの複雑さについても議論が行われ、参加者は深い知見を得ることができました。

講義の最後には、「技術革新を通じて社会にどのような価値を提供できるのか」というテーマで質疑応答が行われ、学生や一般参加者との活発な意見交換が行われました。今回の講義は、技術革新の実現が社会や医療にどのような可能性をもたらすのか、多くの示唆を与える貴重な機会となりました。

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