2024年度「先端科学技術とイノベーション」⑦
2024年11月27日、秋冬学期「先端科学技術とイノベーション」の第7回講義が千代田キャンパスの一橋講堂1階特別会議室にて開催されました。講師には、京都大学名誉教授であり、現在、京都大学成長戦略本部の研究員でもある藤田静雄氏をお迎えしました。
今回の講義テーマは「次々世代半導体に集うベンチャー企業」であり、次世代半導体を超える新素材「酸化ガリウム(Ga2O3)」の研究開発や、それを軸とした日本発のベンチャー企業の取り組みについて詳しく解説されました。藤田氏は、酸化ガリウムが持つ特性が従来のシリコンや炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)を超える可能性に触れ、省エネルギー化や高効率化、小型軽量化といった多くの利点を紹介されました。また、この素材がもたらす技術革新が、持続可能な社会の実現にどのように貢献するのか、具体例を交えながら説明されました。
講義ではさらに、京都大学発のFLOSFIAやノベルクリスタルテクノロジーといったベンチャー企業の事例を中心に、先端技術を社会実装するための挑戦や、グローバル競争の中で日本のベンチャー企業が直面する課題について議論されました。藤田氏は、これらの企業が次世代技術の普及を推進するだけでなく、国際市場で競争力を持つための戦略的視点を持つ重要性を強調しました。
また、参加者からの質問を受け、次世代半導体の市場規模や応用分野についても掘り下げられ、技術だけでなく経済的・社会的な側面からも深い理解を得る機会となりました。藤田氏は、次世代半導体が電力効率の向上や温室効果ガス削減といった課題において、地球規模のイノベーションに繋がる可能性を強調しました。
本講義は、秋冬学期の「先端科学技術とイノベーション」シリーズの最終回として開催され、多くの受講者にとって技術革新とそれを支える産業界の実情を学ぶ貴重な機会となりました。藤田氏からは、「挑戦を恐れず、常に未来志向で行動すること」の重要性がメッセージとして送られました。
最後に、受講者の皆様に向けた言葉として、「本講義で得た知見を活かし、今後も科学技術とイノベーションの可能性を追求し、社会に貢献する力を育んでください」とのメッセージをいただきました。2024年秋冬学期の講義を締めくくるにふさわしい、充実した内容となりました。