2025年度「イノベーション研究方法論」⑤

授業 2025年6月18日 postedlijiarong 2025年度「イノベーション研究方法論」⑤ はコメントを受け付けていません

2025年6月18日、一橋大学大学院経営管理研究科にて「イノベーション研究方法論」第5回の授業が実施されました。本講義は吉岡(小林)徹先生のご担当で、因果推論に必要な「平均の差の検定」と「分散分析(ANOVA)」に焦点を当てた内容となりました。

前半では、2群間の比較におけるt検定の基本的な考え方や、検定における帰無仮説と対立仮説の構造が丁寧に解説されました。検定手法の選択においては、正規分布や分散の等質性といった前提条件をふまえ、Welchのt検定、カイ二乗検定、Wilcoxon検定などの使い分けが紹介され、データの特性に応じた実践的な判断力が求められることが強調されました。また、3群以上の平均の差を扱う分散分析(ANOVA)の考え方や活用法に焦点が当てられました。群間変動と群内変動の関係からF検定を行う手順が説明され、Stataを用いた一元配置・二元配置分散分析の実行例が共有されました。特に、性別×チーム人数がビジネスアイディア数に与える影響を題材とした演習を通じ、検定結果の解釈や多重比較の実施方法への理解が深められました。

講義後半の演習時間には、受講生が講義で学んだ内容をもとに、Stataを用いた実際のデータ分析を自主的に行いました。学生たちは各自のPCでコードを実行しながら、変数のクレンジングから仮説の設定、検定結果の解釈までを体験的に学び、統計的推論の基礎的スキルを着実に身につけていきました。

本講義は、今後の回帰分析や因果推定モデルの学修に向けた基盤づくりとして位置づけられており、理論的思考と実践的スキルの両立を目指す本プログラムの狙いを体現する内容となりました。

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