2025年度「イノベーション研究方法論」⑥

授業 2025年7月2日 postedlijiarong 2025年度「イノベーション研究方法論」⑥ はコメントを受け付けていません

2025年7月2日、吉岡(小林)徹先生によるイノベーション研究方法論の第6回の講義が行われました。本講義は、定量的手法を理解する上で不可欠な回帰分析の基礎を丁寧に解説する内容で、特に最小二乗法(OLS)に焦点を当てていました。講義冒頭では、「相関の分析・因果の推定」をキーワードに、重回帰分析の基本的な考え方が紹介されました。説明変数が被説明変数に与える影響を複数同時に分析できること、欠落変数バイアスや交差項の扱い、OLSが成立するための条件などが、理論と具体的な図解を交えて明快に説明されました。また、内生性や多重共線性など、社会科学の実証研究においてしばしば問題となる統計的課題についても詳細に言及され、現実の研究設計に活かせる知見が詰まっていました。

さらに、Grimpe & Sofka(2016)などの研究を例に、回帰分析結果の表示方法や解釈の注意点も解説しました。R²や有意水準、標準誤差の扱い方だけでなく、実質的な影響の読み取りやロバスト性検証の重要性も強調されました。また、博士課程修了者の収入決定要因を例に、重回帰分析の実際的応用が紹介され、理論と実践を橋渡しする構成となりました。

講義後半は、学生自身によるデータ操作や回帰推計を通じた自主演習の時間として構成され、各自が講義内容をもとに分析モデルを組み立て、実際にOLS推計を試みるなど、実践的な学びが促されました。学生同士の議論や教員からのフィードバックも交えながら、理解の定着を図る充実したセッションとなりました。

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